「だいこんの花」と「犬神家の一族」2006年02月01日 00時00分45秒

朝までに仕上げなくては、と原稿を書きつつも、ジャッキーがスカパーTBSチャンネルで「明日の刑事」を見ていて、ついつい気を取られる。
もう30年近く前の1話完結の刑事もの。調べたら1977年。この回のヒロインは、川口晶だ。懐かしいなあ。
川口浩の妹で、川口4兄妹の紅一点だった彼女は、当時、庶民派キャラでそこそこ人気があった。30代後半以上の人なら、「雑居時代」や「時間ですよ」なんかの彼女を覚えているのでは? それとも映画「犬神家の一族」の小夜子役といえば、わかるかしらん。

私が一番よく覚えているのは、「だいこんの花」のヒロイン。
このドラマ、大好きだったんだよね。向田邦子の脚本で、森繁久弥の元軍人のやもめ(最近あまりこの言葉聞かないな)と竹脇無我の親子を中心としたホームドラマ。その初代ヒロインが、この人だった。確かお手伝いさんだったんじゃないかな。違うかな。何かとごっちゃになってるかも。まあ要するに、お手伝いさんキャラなんですよ。
このドラマで、若い彼女(確かまだ20歳前だったと思う)
と竹脇無我の淡いキスシーンがあり、子供心にちょっとどきどきした記憶がある。本当にキスしてるのかなあ、って不思議だったんだよなあ。サランラップとか挟まなくていいのかなあ、とかね。

あー、なんか「だいこんの花」が猛烈に見たくなった!DVDが出てるらしいが、ちょっと高いので、スカパーで近々やってほしい。このシリーズは、関根恵子、いしだあゆみ、とヒロインを変えてかなり長いこと続いていました。森繁さんの海軍時代の部下で小料理屋を営む大坂志郎と加藤治子の夫婦がいいんだよね。この加藤治子が、森繁さんの死んだ奥さんにそっくりという設定で、いつもこの店に入り浸ってるわけ。小料理屋は向田ドラマには欠かせない設定ですね。

「寺内貫太郎一家」などに比べると、あまり語られることが少ないが「だいこんの花」も向田ドラマの名作の一つ。ドラマ好きにはおすすめです。

ちなみに川口晶は、ある事件がきっかけで芸能界を引退したのだが、気になって検索したところ、今は国重晶の名で陶芸家として活躍されているとのこと。へー。

そういえば、「犬神家の一族」も市川監督本人の手でリメイクされることだし、見直してみようかしら。

ああ、こんなことをしてるから原稿が一向に進まない・・・。

ささやかながらも、大いなる休暇 12006年02月12日 01時39分36秒

山の上のオムハヤシ

風邪をひいたり、仕事が忙しかったりで、しばらく日記をかけずにいたけど、今週末は、ひさびさに締め切りがない!あー、なんという解放感。
やっぱり週末は休まなくちゃね。
ささやかながら、気持ち的には、大いなる休暇である。

とはいえ、土曜日は、1日フル稼働しちゃったよ。
午前中は、御茶ノ水のアテネフランセでフランス語の授業。ここで土曜日のクラスを取り始めて、ちょうど4年になる。上達のほどはさておき、朝10時からなのだが、オリンピックの開会式を見ていて、遅刻してしまった as usual。しかし、なんと担当のムッシュー・サンペイが風邪でお休み。
代理のイザベル先生は、どうも普段は初級会話担当らしく、いつもよりやさしいフランス語のレッスンに。条件法とか、一切出てこないの。いやあ、久々に私でもわかる内容でした。でも、サンペイ先生は大好きなので、早く元気になって復帰してほしいな。
ちなみにサンペイ先生の本名は、ムッシュー・サンペール。れっきとしたおフランス人です。

お昼はアテネ仲間のみゅうさんと、久々に山の上ホテルでランチ。ここの地下の洋食ランチは値段もお手ごろで、とってもおすすめ。
今日はカキフライを食べる気満々だったのだが、品切れで、オムハヤシライス1300円を注文。中のライスにもハヤシにもお肉がたっぷり入っていて、とてもおいしい。私はオムライスはちょい濃い目の味が好き。最近、流行のオムハヤシの中には、ライスがバターライスのものもあるが、ここはちゃんとケチャップライスになっているので、かなり好み。ボリュームもかなりあるので、男性でも満足できそうだ。あえて言えば、卵がもうちょい半熟気味だと、完璧なんだが。
久々に会ったみゅうちゃんは、なんだか楽しそう。以前より肌つやもいい!むふふ。これは・・・。
若いっていいなあ。

みゅうちゃんと別れた後は、日本橋三越でお買い物。

ささやかながらも、大いなる休暇 22006年02月13日 03時49分42秒

ランチの後は、日本橋三越へ。
実はここ暫く、ほしくてたまらないものがあった。
チンチラの襟巻きと、モンクレールの白のダウンコート。
つまり防寒オシャレのアイテムね。
特にチンチラは、去年たまたま見かけたFENDIのディスプレイで、心を奪われてしまった。
もちろん値段を見る勇気すらなかったが、あのショール、ほーんとかわいかったなあ。眼の保養に、もう一度見てみたいです。

まあ、土曜はあったかかったが、やっぱりまだ寒さは続きそうだし、FENDIは無理でも、冬物セールの最後に思い切ってどちらかを買おうと思い立ったわけである。
幸い、不惑祝いで義父母にもらった商品券が少しある。
しかし、モンクレールがあるという3階に行ってみると、ダウンはすべて売り切れ。そりゃそうだな。ずーっと寒かったんだもん、ほしい人はとっくに買ってるよね。去年パリに行ったときに、買うべきだったなあ、と反省。
気持ちを切り替え今度は1階の、襟巻き売り場へ。
ミンクやらキツネやらに混じって、ありましたよ、チンチラちゃん。ちょっとお高いが、巻いてみると、やはり暖かいし、何よりかわいい!自分で言うのもなんだが、今日のワンピースにもぴったり。夜はパーティもあることだし、と、思い切って買っちゃいました。

このために、何匹のチンチラちゃんが天国へ行ったかと思うと少し胸が痛むが、チンチラちゃんの貴重な命を無駄にしないよう、この冬はこれであったまろうと思う。ありがとう、チンチラちゃん。
あ、ちなみにチンチラって猫じゃないからね。山ねずみの一種です。
毛皮って残酷なものだ、ということも一理はあるとは思うけど、やっぱり寒さには一番強い。
ちなみに私が好きなデザイナーの一人、ステラ・マッカートニーは毛皮、皮製品を一切使わない。確かそれで、グッチのデザイナーを断ったはず。両親のポールとリンダが徹底的なベジタリアンだったからね。 私はポールのファンでもあるが(つーか、こっちのファン暦のほうが長いわな。何せ8歳のときからだから)、肉も毛皮も好きです。もちろん不必要な殺生は避けるべきなんだろうが、どこまでが不必要な殺生なのか?うーん。難しい。

そんなことを考えながらも、その買ったばかりの、チンチラちゃんを早速首に巻きつけ、今度は有楽町マリオンへ移動。
11日は、いつもお世話になっている、キネマ旬報のベストテン表彰式だったのだ。
もちろん私が表彰されるのでも、選者でもないが、編集のTさんが、誘ってくださったのである。
しかも映画好きのうちのジャッキーの分まで、招待状を下さった。ありがとう!
表彰式を挟んで、洋画1位の「ミリオンダラー・ベイビー」、邦画1位の「パッチギ!」が上映されるのだが、私はどちらも見ているため、表彰式のみ見学させていただくことに。
『ミリオン~』は私にとっても去年のナンバーワン作品だが、何度見ても号泣すること確実なので、今回は遠慮させていただいた。
だが、後から来るジャッキーのために席を取っておこうと早めに会場へ到着。ロビーで時間をつぶしていると、なにやら派手な物体、もとい、ものすごく派手な人が、私の視界を一瞬かすめた。
その正体とは・・・。

ささやかながらも、大いなる休暇 32006年02月17日 04時25分10秒

ロビーで一瞬私の視界を横切った、派手な人とは、
オダギリジョー、でした。

この日、キネ旬の主演男優賞を受賞した彼は(受賞者は事前に発表されている)、ブルーのスーツに赤い帽子。
彼のCM風に言うならば、
「どうなの、おれ?かっこいいの、それ?」
という感じ。
いつも衣装が不思議なんだけど、スタイリストさん、それってどうなの?
おばさんにはわからないセンスのかしら、と思っていたら、
その後の表彰式で、舞台出演のため会場に来られなかった助演男優賞の堤真一がビデオで「オダギリくんの突飛な服装が見られなくて、残念」というようなことをコメントして、場内爆笑。もっとも堤さんも、私と同世代ですけどね。
ちなみに表彰式について、ジャッキーはこんなこと書いてます。
http://amakuma.asablo.jp/blog/2006/02/12/250263

でもオダジョーくんの主演男優賞受賞は、納得である。
『メゾン・ド・ヒミコ』でゲイの青年を演じた彼は、水棲動物のようなぬめりのある存在感が、秀逸だった。
表彰式には、同作の監督である犬童一心監督がお祝いにかけつけていた。現役の日本の監督の中でも、トップクラスの才人だ。作品はもちろん、私は監督の映画に対する考えというのを、とても信用していて、何度か取材をさせていただいている。親切なTさんのご配慮で、式後に、監督と雑談をしていると、そこへオダジョーくんも登場。
私服らしい黒いセーター姿で、こっちのほうが全然かっこいいじゃーん。
もちろん、そんなことは当人に言えない小心者の私であった(笑)。

犬童監督と談笑するオダジョーくんは、とてもリラックスして、いい感じである。犬童監督は、大柄でいがぐり頭なので、一見とっつきにく感じだが、実はとてもソフトで、少女の心も秘めたとてもユニークな人。
あ、誤解しないでね。監督には愛妻弁当を作ってくれる、10才下のかわいい奥様がいます。おかげで10キロ以上痩せたらしい。愛妻弁当の威力、おそるべし。

しかし、小心者のくせに、とんでもないことを口走る癖のある私。犬童監督が、「メゾン~」は監督賞も、主演女優も助演男優賞も2位に終わり(柴崎コウ、西島秀俊)、オダジョーくんだけが1位を取れたんだよねー、という話になったときに、「それは彼が、『イン・ザ・プール』では継続性勃起症の男を絶妙に演じたから、その点も加算されたのでは」というようなことを、のたまわってしまった。

「えーっ」って笑っていましたが、ほんと『イン・ザ・プール』も面白かったのよ。しかしあの映画ではオダジョーくんは、助演的立場だったので、これは加味されてないのかも。
その後、彼は「時効警察」のロケがあるからと去っていったが、このドラマの演出をしているのが『イン・ザ・プール』の三木聡監督。この映画、あまり話題にならなかったのが残念だが、だまされたと思って見てください。かなり面白いです。 『時効警察』が好きなら、きっとりツボにはまるでしょう。

その後、中華料理店でのお祝いにも顔を出させていただいた。他のものには目もくれず、北京ダックを食べていた私。
あらためて、ありがとうございます、Tちゃん。そして、おつかれさまでした!

9時ごろ、『パッチギ!』を見終わったジャッキーと合流し、今度は沖縄料理屋へ。やっぱりオリオン生はうまいぜ!

というわけで、ながーい土曜日を送ったのでした。

最近のお仕事 2月中旬2006年02月19日 03時07分18秒

「CREA」 3月号
西島秀俊、香里奈、インタビュー

『PROMISE』 劇場用プログラム
(真田広之 他インタビュー)

『ダイアモンド・イン・パラダイス』 劇場用プログラム
(「知的エロこそ大人の男の生きる道」と題して、ピアース・ブロスナン評を装いながら、チョイ不良オヤジへの苦言を書いてます。昨今のチョイ不良、チョイもて・ブームに腹立たしい思いをしている、そこのあなた、ぜひお読みくださいませ。)

『PROMISE』 公式ビジュアルブック
(チャン・ドンゴン 他インタビュー)

おそれイリヤのクリヤキン、もしくはオーウェンのために祈りを2006年02月20日 19時00分39秒

連日トリノ・オリンピック漬けだが、フィギュア・スケート男子に、
イリヤ・クリムキンというロシアの選手を発見。
イリヤ・クリヤキンと一文字違いだよ。

しかし、実況のアナウンサーは、私が見ている限り、一言もそれに言及しなかった。おかしいなあー。
高橋克実と高橋克典くらい似ているのに。

イリヤ・クリヤキンをご存知ない方のために説明すると、なつかしの海外ドラマ『0011 ナポレオン・ソロ』に出てくる、金髪ハンサムだがちょっとお茶目なスパイ。演じていたのは『大脱走』のデビッド・マッカラム。スカパーでしょっちゅう再放送しているので、観たことある人もいるのでは?
これは007が世界的に大人気だった60年代後半に、アメリカで作られたテレビシリーズで、 原題は"The man from U.N.C.L.E."。ソロとイリヤは、U.N.C.L.Eなる秘密機関の諜報部員コンビ。本家007や、その後の『スパイ大作戦』に比べ、わりとコミカルで、イリヤ・クリヤキンは変装が得意で、確かロシア系アメリカ人という設定。演じたデビッド・マッカラムは名前からわかるように、スコットランド出身だけど。 私が子供の頃は、とてもポピュラーな番組でした。

イリヤは、今なら、オーウェン・ウィルソンにぴったりの役どころ。
ぜひこれ、オーウェンでリメイクしてほしいなあ。同じくテレビのリメイク映画に挑戦した「アイ・スパイ」(相方を演じたのはエディ・マーフィ)はコケたけど、こっちのほうがオーウェンのキャラに合ってるし、面白くなりそうな気がするぞ。 ベン・スティラーとの「スタスキー&ハッチ」のリメイクは面白かったのに、日本ではビデオスルーだし。これをNYのソニーシアターの大画面で観た私は勝ち組だな。いや、誰にも勝ってないんだが。

となると、肝心のナポレオン・ソロを演じるのは誰がいいかね。いつもの相方、ベン・スティラーやビンス・ボーンだと、完全コメディになっちゃうしなあ。それも見たいが、少しはカッコよさもないと、またビデオスルーになっちゃうしね。本家は金髪おちゃらけ青年イリヤと、黒髪のキザ夫ナポレオン・ソロというコンビなので、ヒュー・ジャックマンあたりかなあ。でもおヒューだと、今度はいい男すぎなんだよな。
昔、タランティーノが監督してジョージ・クルーニーがソロを演じるという企画があったらしいんだが、ちょっと年とりすぎちゃったしな。
誰かいい人いませんかね。

この映画が実現すれば、今度こそオーウェンも日本でメジャーになれる気がするんだが。今年の私の野望は、オーウェン・ウィルソンとニコラス・ツェーを日本でメジャーにすることなのである。うっひっひっ。


ちなみにまったくの余談ですが、作家で放送作家だった故・景山民夫の事務所が U.N.C.L.E.という名前でした。

今日の妄想パワープレイ: マシュ・ケ・ナダ2006年02月21日 04時34分29秒

19日の日曜、青山ブックセンター本店で行われた「ポップカルチャー・アワード2005」なるトークイベントに行ってきた。
エディター&ライターの川勝正幸、下井草秀の両氏のユニット、文化デリックによる「ポップ・カルチャー年鑑2005」の出版記念を兼ねた催し。この本は二人が高円寺で月に一度催しているPOP寄席というトークをまとめたもの・

下井草さんとはお仕事を一緒にすることも多く、その博覧強記というか無駄知識の泉っぷりに、いつも感心させられてます。特に『元気が出るテレビ』と『お笑いウルトラクイズ』については、誰よりも造詣が深い。

イベントの第1部は去年の映画、音楽、文学で1位に選ばれた作品の表彰式で、出版部門では、「彼女は長い間猫に話かけた」の作者である川崎徹さんが受賞し、ご本人が登場。『元気TV』のメンバーだった川崎さんに賞状を渡す下井草さんは、自身の不遜っぷりに恐縮してました。この川崎さんの本はぜひ読みたい。

第2部は最近、映画監督デビューを果たした漫画家・杉作J太郎氏を交えたトーク。
そこでJ太郎氏が監督した「任侠秘録 人間狩り」と「怪奇!幽霊スナック殴りこみ!」のメイキングや予告編が流された。なんと本編より長い1時間もの映像だったのだが(会場は笑いと共に、「早くトークしろよ」と青江三奈のような愛情深い溜息も流れました)、そのバックに流れていたのが「幽霊スナック」の主題歌でもあるCKBの「まっぴらロック」。

翌日、「ポップアワード年鑑」を電車で読みながら、脳内で「まっぴらロック」を流そうとすると、
♪ナンマイダー、ナンマイダー~うー、オマー、オマー、オエー…マシュケナッダ、という具合に、どうしても「マシュケナダ」にシフトしてしまう。しまいには、地下鉄の階段で口に出てしまう始末。完全に妄想パワー・プレイ状態である。正確にはどんな歌詞かわからんが。ポルトガル語だからね。

もちろん「まっぴらロック」は「マシュケナダ」のボサノバ・サウンドを昭和歌謡風にアレンジしてるんだけど、それにしても「マシュケナダ」、おそるべし。ボサノバの威力なのか、ブラジルの威力なのか、すっかり脳内は1966年である。イリヤ・クリヤキンといい、まったく。

「マシュ・ケ・ナダ/MAIS QUE NADA」は、セルジオ・メンデスとブラジル66による、1966年の大ヒット曲。  
浅野ゆう子も「サマー・チャンピオン」で、セルジオ・メンデスと組んでましたな。これは1979年の夏のカネボウのCMソング。よし、ようやく脳内が70年代まで戻ってきたぞ。
「サマー・チャンピオン」のときは、"セルジオ・メンデスとブラジル88"を名乗ってた。1979年なのに。百恵ちゃんの「しなやかに歌って」と同様、80年代に向かって、ってことだったんでしょうが、もし100年後くらいに『サマー・チャンピオン』が88年の歌と誤解されて発掘されたらどうしよう、といらぬ気を揉んでしまいますな。

ちなみにこの年の化粧品CMは、資生堂がツイスト「燃えろいい女」でモデルは小野みゆき、コーセーが山本達彦の「ある日、この夏」でモデルはセーラだったはず。『燃えろいい女』が一番ヒットしたんだが、なぜか私は「ある日、この夏」のEPを王子駅前で買いました。ただ単に二枚目風の顔がよかったんだよな。歌はどうってことなかった。レコードのジャケ買いをしたのは、このときが初めてです。今27年ぶりに思い出しました・・・_| ̄|○。

お荷物小荷物2006年02月27日 00時28分07秒

今日はシアターコクーンで「労働者M」を観てきたのでその話でも書こうかと思っていた。だが、帰ってきてネットを見たら、脚本家・佐々木守氏の訃報を目にしてビックリ。
まだ69歳だったのかあ。 うーん、残念である。佐々木守といえば、60年代後半から70年代のテレビドラマ全盛期を支えた脚本家の一人。この人、ものすごく多作で、私が子供の頃は毎日のように「脚本・佐々木守」という文字を見ていた気がする。「おくさまは18歳」や「赤い運命」などの大映ドラマから「ウルトラマン」、映画では大島渚作品まで、そのジャンルもとにかく幅広い。

「佐々木守が死んじゃった!」と言うと、うちのジャッキーもショックを受けた様子。「怪奇大作戦」好きのやつにとっては「ウルトラ」シリーズなど実相寺組の脚本家という印象が強いらしいのだが、私が真っ先に思い出したのは「お荷物小荷物」と「美人はいかが?」というドラマ。

「お荷物小荷物」大好きだったんだよね。今調べたら1970年から71年にかけての放送。
下町の運送屋に、沖縄(続編では北海道)からお手伝いさんとしてやってきた中山千夏が、男所帯の封建的な一家を引っ掻き回すというコメディ。いきなりカメラ目線で話したり、スタジオ見学の客を巻き込んだり、当時のテレビドラマとしてはかなり実験的なことをやっていたらしいが(ゴダールの影響と言われていたことを最近知った)、そんなことはわからない当時5歳の私が見ても、すごく面白かったのよ。なんかハプニングがいつもある、っていう感じが伝わってきたというか。
それと、林隆三、渡辺篤史ら男5人兄弟の末っ子(だったと思う)だった佐々木剛が、その後2代目仮面ライダー、十文字隼人として登場してきたことに子供心にも、「おおっ」と思ったものだ。佐々木剛と佐々木守の間には血縁関係はないみたいだが。

当時、中山千夏は才女タレントとして人気があり、うちの母親もとても好きだったんだよね。このドラマで彼女はよく、長袖シャツの上から半袖ニットを着ていたのだが(当時の流行だった)、私も母に編んでもらったニットで似たような格好をしてました。今思うに、うちの母親は容姿に恵まれない幼い娘に、顔より頭で勝負の中山千夏のようになってほしいと思っていたようだ。結局どっちでも勝負できてないんだけど。
ちなみにこのドラマ、現存するビデオが数回分しかなく、再放送できないらしい。非常に残念。

で、そんなことを考えながら、以前紹介した「ポップカルチャー年鑑2005」を手に風呂に入った。すると、開いたページに偶然、「お荷物小荷物」と佐々木守についての記述があるじゃあないか。ちょっとお風呂の中でぞくっと震えがきました。嘘。本当はあつくて汗ダラダラ流してました。でも、あまりの偶然に驚いたのはホント。

それによるとカムイ編(北海道出身のバージョン)は、アイヌについての描写がらみで、放送禁止となった回があったそうだ。それで思い出したんだけど、このドラマ、何で子供の私がそれほど好きだったかといえば、中山千夏がクマを飼ってたんだよ!下町で、クマ。実際に下町で、運送屋の隣に住んでいた私にとっては、ありえねえシチュエーションだったわけだが。
でも沖縄編でも何か飼ってたんだよなあ。思い出せない・・・西表ヤマネコ、じゃないしな。

というわけで、佐々木守さん、ご冥福をお祈りします。